塵芥の風積地:TYPE-MOON「魔法使いの夜」レビュー

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恋愛アドベンチャーではなくビジュアルノベル。

TYPE-MOON第三作目にして諸々の原点、
ビジュアルノベル「魔法使いの夜」のレビューです。

ネタバレ注意。

総合シナ 
 リオ
キャラムービー音楽演出シス 
 テム
817889596


◆プレイ時間はたぶん総計14時間くらい。
本編 9:30
番外編 4:40
全体としては中々のボリュームでフルプライス平均より長い、かも。
番外編も全部足すと結構な量ですねー。


インストール容量は4.81GB。
ボイス無しでこれだけとか一体何をどう仕込んだのか
非常に気になるところです。ものすっごく力業なんだろうなぁ。

修正パッチが存在します。
誤字は兎も角演出に調整入るので余程のことがない限り
あてるのが良い道でしょう。

ルートの制限はなし。というか本編に選択肢無し。
途中脇道とか番外編が偶に湧いてきますが
こちらはいつでも好きなときに見て下さいなスタンスな模様。


■分野別評価

◆シナリオ 7
魔術師と魔法使いのお話。

今時テキスト表示がノベル形式のみなんて見ないですよねー。
そのページ辺り文字数、ボイス無し演出に基づく極めて独特な
文体が本作の、いやこのブランドの味でしょうか。
モノローグが三人称か一人称か、一人称なら誰の視点なのかが
非常に曖昧で揺らぎ移ろい、読者体験を誘います。

一切の選択肢・分岐を排除し読み物としての性質を高めた一方で
章毎にセーブその他のメニュー画面を挟むことで休止ポイントを
確保している点は見事でしょう。

惜しむらくはこれが原点の作品だったことでしょうか。
派生作への息吹を見せるこの作品はエッセンスであるが故に
シナリオ上での目新しさが欠けるように思いました。
逆に初TYPE-MOONが今作であればこれほど適した物もないでしょう。
その内月姫リメイクも出ますしね。……出るよね?


◆キャラクター 8
完全一本道と言う事はルートとかそういうのが無い訳でして。
草十郎と青子両方が主人公という形が一番しっくりきますかね。

分岐がない故ルート毎に正確入れ替わるようなこともなく、
単独ライター故一部分で性格豹変ということもなく。
こっちは割と心配したけれど。

恋愛要素はそれに含めるかどうかすらも迷う程度の薄さなので
そういうことは除外した上で考えますと、魔術師は魔術師らしく、
草十郎もこいつなりに、物語通して芯を貫く姿勢。
草十郎はこれで初めて文明に触れたかというような非常識さを
持っているため、一般人としての視点を期待することは
出来ないのですが、そこは魔術師見習いの青子をもって補うという
ちぐはぐな辺りがポイント。


お気に入りキャラは有珠。
しかし言いかけた台詞を途中で止めた後に続く部分の把握が
全く進まない私はまだまだのようです。


◆絵 8
数え方がどうしようもないので総数はノーデータ。

グラフィック面の特徴。カットイン式多重表示。
これは驚きですね。何も全画面使う必要はないと。成程ですよ。
しかしまあそんな手間暇かけられるようなブランドが
ここの他にどれだけあるかと考えると追随はなさそうです。
一般的なアドベンチャー式表現に比べて圧倒的に読み物としての
印象が強くなります。
言い方悪いですがクリックで進む美麗パラパラ漫画みたいな。
勿論全域サイズの一枚絵も多数収録。演出の妨げとならないよう
差分がえらいことになっているか数瞬で消えるか割り切った選択。

立ち絵も上記表現に組み込まれ、それはもうシルエットまで
使われる始末。ここまで来ると執念すら感じます。
欠点があるとすればカットインだと距離感が出せないことでしょうか。

背景。
御多分に洩れずかなりの量。
作品中そんなに色んな場所出歩いている訳ではないので、
一つの建物にカットイン用切り抜き画がわらわらと。
見せ方扱い方が巧みです。


◆ムービー -
そんなものなかった。
正確にはスクリプトで回しているものがあるのですが、
スクリプト製は含めないというのがここのルール。
基本的にクレジット表記やスタッフロールくらいですしね。

今回に関してはそれこそ本編をオートで流すような物でしょうか。


◆音楽 9
BGM全55曲。内3曲はクラシックのアレンジ。
滅多に見ない大ボリュームです。

メインテーマやメインキャラのテーマ曲など、
複数バリエーションを持たせることで数を稼ぎ、
一度しか流れないような贅沢な使われ方をする曲を入れる
余地を作るという何とも努力の跡が見受けられます。
タイトルBGMが無かった点だけ残念というか何というか。

そしてこちら重要な点。この作品にはボイスがありません。
即ちそちらに気を遣うことなくド派手な曲を思う存分
好き勝手流すことが可能です。
雰囲気作りに声を使えないというのは弱点とも言えるのですが
そこは受け手の好み。私は曲派。


お気に入りの曲は、
・魔法使いの夜~メインテーマ~
OHPでも聴けるアレですよ。アレンジ版はわんさか出てくるものの
こちらは殆ど使われないという何らかの拘り。
・久遠寺有珠
そのまま有珠のテーマ曲。
御伽噺のようなファンシーさと積み重ねられてきた月日の
重さを兼ね備えた曲。空気が変わります。
・顕現/great three
有珠の戦闘曲のようなもの。
如何にも何か起こりそうなというか起こっちゃってる雰囲気を醸します。
・いつまでも君と
あんまり未来見てない。寧ろ終わりが見えるから
今を慈しむかのような脆さが漂う曲。
・Five
第五魔法。色々と卑怯。


◆歌 5
ED曲1曲のみ。

どうもここはボーカル曲に対する扱いがそんなに宜しくない気がする。


◆声 -
このご時世にノンボイス。
そんな事を平然とやってのけるッ!
そこにシビれる!あこがれ……はしない。


◆演出 9
絵の部分で書いたりしましたが、こんな芸当しでかすのは
ここくらいの物で、そんな未踏の世界へ進んだ上で
この完成度というのは賞賛して然るべき。
模索の筈なのにこの思い切りは偏に凄いの一言。


◆システム 6
ジャンプ機能が貧相だったり演出時はCPUをぶん回したり
手荒い部分もあるのですが、既読シーンの蔵書システムや
音楽鑑賞モードの作りが大変面白いです。
あとノベル式表示らしくページ末はクリック待ちアイコンが
変わるのが非常にありがたい。併用型だと大抵無いんですよねー。

音楽鑑賞なんて曲の再生時間まで表示される上に関連シーンが
スライドショーされるのですよ? リピートやシャッフルも完備で
取り敢えず起動して垂れ流すだけでも楽しめる作り。


◆総合 81、総括
今更ですが、誤字とか細かい矛盾とかも含めて味かなとか
一瞬思いかけたのですが、やはりそんな事は無いので
デバッグの皆さんはもっとビシバシ挙げちゃって下さい。
こんな大規模スクリプトを問題無く動かせるなら出来ますって。

TYPE-MOON世界を知らない人は元より、知っている人でも
スピンオフのような物とすればまた違った見方で楽しめるでしょうし、
番外編の長編物がまた変に凝ってて良かったです。
テキストで面白かったところと言われたらこれを差すくらい。
選択肢排除で遊び心噴出ポイントが絶滅危惧と化したためか
結構なハジけ具合ですが、お祭りディスクよりは大人しいので
そんなに身構える必要が無いのも良いところですね。自制したようです。

ともあれ、ノンボイスに抵抗のない人は一度触ってみると
面白い刺激になるのではないかなぁと思います。
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